ボルト締結不具合をなくすための設計者の心構え

「組み立てられる設計」が本当の設計

3D CADで生産設備を設計する際は、部品同士が干渉しないことだけでは不十分です。

実際に現場で組み立てられること、工具で締め付けられることまで設計することが設計者の責任です。

完成した3Dモデルがどれだけきれいでも、

ボルトが挿入できない
ナットが入らない
レンチやソケットが入らない
締め付けトルクがかけられない
組立順序が成立しない

という状態では、その設計は未完成です。

設計時に必ず確認するポイント

① ボルトは本当に挿入できるか

穴があるだけでは十分ではありません。

実際の組立では、

ボルトの全長
ボルト頭
ワッシャ
ナット

すべてが入るスペースが必要です。

「ボルトを持って真っ直ぐ入れられるか」

という視点で必ず確認してください。

② 工具は入るか


締結するためには工具が必要です。

例えば

スパナ
メガネレンチ
ソケットレンチ
六角レンチ
インパクト

など、実際に使用する工具を想定します。

確認すること

レンチが回転できるか
ソケットの高さが確保されているか
六角レンチを最後まで差し込めるか
周囲の部品が邪魔にならないか

「人が工具を持って締める」ことを常にイメージしてください。

③ 組立順序を考える

CADでは部品は自由に配置できます。

しかし現実では、

部品Aを取り付ける
部品Bを取り付ける
最後にボルトを締める

という順序があります。

組立順序を考えずに設計すると、

「後からボルトが入らない」

という問題が発生します。

組立作業を頭の中でシミュレーションすることが重要です。

④ 分解・メンテナンスも考える

設備は組み立てて終わりではありません。

将来、

モータ交換
シリンダ交換
センサ交換
ベアリング交換

などの保守作業があります。

そのため、

「工具が入るか」

だけではなく、

「将来取り外せるか」

まで確認してください。

⑤ 人の手が入るか

設備には必ず作業者がいます。

CAD上では部品しか見えませんが、

実際には



工具


が入るスペースが必要です。

「人が作業できる空間があるか」

という視点を忘れないでください。

設計者が常に持つべき意識

設計者はCADを操作しているのではありません。

現場で設備を組み立てる作業者になったつもりで設計することが重要です。

完成したアセンブリを見たら、

このボルトはどうやって入れるのか
このレンチは回るのか
この順番で本当に組めるのか
将来交換できるのか

を自分自身に問いかけてください。


最後に

「CAD上で組み立つ設備」と「現場で組み立てられる設備」は異なります。

優れた設計者とは、図面を完成させる人ではなく、現場で問題なく組立・締結・保守までできる設備を設計できる人です。

常に「自分が組み立てるならどうするか」という視点を持ち、一つひとつのボルト締結を確認することで、組立不良や手戻りを未然に防ぎ、高品質な設備設計を実現しましょう。

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